隣国の蛮行 危うい日本

人類の危機に対応するために

中国が民主化するという国際社会の目論見違い

先進国が期待した中国が民主化するという楽観的な見通し・・・

 70年~80年代はアメリカを中心に国際社会が、中国は経済が発達すれば民主国家になると楽観視していました。先進国は中国の民主化の期待と自国の利益を求めて、先を争うように中国進出をしていったのです。それによって中国は世界第2位の経済大国になったのです。しかし中国に対する希望的観測は見事に裏切られました。

これについて、日本で2002年に出版された、何清漣著『中国現代化の落とし穴』で述べられています。抜粋して紹介します。

 

―― 中国の未来に対する国際社会の評価は一般的に楽観的である。とりわけこの2年来、人々は前途輝ける二つの神話を作り出し、みずからを慰めている。ひとつはWTO世界貿易機関)加盟は中国の政治の民主化をうながすだろう。ふたつめはハイテクの進歩が情報の自由な伝播をもたらし、中国の情報規制を打破するのに役立つであろうというものだ・・・

WTOの加盟の神話については、片思いの希望を抱いているにすぎないといわざるをえない。なぜならWTOはたんに国際社会の経済ルールであって、それを通じて一国の政治制度を変えると期待することはできないからだ。

▶第二の神話はまさに中国政府によって無情に打ち砕かれつつある。たとえば、数億ドル投じた「金盾工程」(ゴールデンシールド・プロジェクト※)は、政府が科学技術の手段をもって社会統制を強化することに貢献しており、多くの多国籍企業がビジネスのために先を争ってこのプロジェクトに参加している。

    (※公安省がすすめている社会統制強化のためのハイテク・ネットワーク。2008年完成予定)

『中国現代化の落とし穴』何清漣著(株式会社草思社 2002年発行)

 

 中国の気鋭の経済学者で、深圳法制日報の記者であり、中国社会科学院公共政策センター特約研究員でもあった何清漣氏が、すでに20年前に述べています。中国を代表する知識人である何氏の洞察力には今もって感心させられます。さらに彼女は次のように述べています。この時期、中国政府(江沢民時代)は集権的な統制を強化することに成功したのです。その柱となるのが次にあげる3つです。要約して紹介しますと。

 

―― 西側の民主的な政治を醜悪に描くことを中核とする共産党イデオロギー戦略は、公共領域の統制強化とあいまって発展してきた・・・

▶思想教育を強化し、国語、歴史、政治の科目を通じて、青少年に多くの嘘を吹き込んだ。

▶メディアに対する統制強化。中国政府はほとんどのメディアを独占し、党の代弁者にした。

▶知識人に対しては「買収」と「打撃・圧迫」を行なう策をとった。

 

 以上3つの江沢民政権による政策は、中国国内のこととして国際社会からの批判を引き起こすことにはなりませんでした。世界中の国々は目先のカネ儲けに目がくらみ、この政策の本性を見抜けなかったのです。気がつけば、世界を支配下に置こうとする、ならず者国家だったのです。

 

 中国は中国共産党に支配されている国です

 中国共産党は日本人の感覚からすれば、共産党といいますから、いくつかある政党のうちの一つだろうと考えます。または一党独裁ですから、一つの政党しかない国、と考えるかもしれません。しかし中国共産党は、民主主義国家における政党とは全く異なります。中国共産党は、中国という国の上に存在しているということです。我が国では考えられませんが、中国の憲法には「中国は共産党の指導を受ける」と明記しています。端的に言えば“中国は中国共産党が支配する国”ということになります。

  多くの民主主義国家では、三権分立という制度があります。権力が一点に集中しないように、司法・立法・行政に分けて、互いに監視するようになっています。しかし中国では、このすべての権力を共産党が握っているのです。さらに軍隊も中国共産党の指導のもとに動きます。すべての権力を一極集中して共産党が握っているのです。つまり、”中国は中国共産党による独裁国家”ということになるのです。